物流業界の課題を解決する
倉庫自動化ソリューション開発を支援

労働人口の減少により、物流業界の人手不足が深刻化しています。課題解決のカギとして注目されているのは、DX(デジタルトランスフォーメーション)。システムの自動化によって人手不足を補う流れが今、加速しています。そんな中、大手総合重機メーカーの三菱重工業(以下、三菱重工)は、物流倉庫のオペレーションを自動化する自動ピッキングソリューションを発表。菱友システムズは、データ分析の知見などを活用することで、このソリューションの開発支援を担いました。プロジェクトを担当した二人の社員に話を聞きました。
参加メンバー

デジタルイノベーション部
デジタルテクノロジーグループ
チームリーダー
デジタルテクノロジーグループ
チームリーダー
K・N
2006年入社

デジタルイノベーション部
デジタルテクノロジーグループ
チームメンバー
デジタルテクノロジーグループ
チームメンバー
K・S
2021年入社
最先端の技術と多様なメンバーでお客様の要望実現をサポート

まずは二人が所属している部署の役割、普段行っている業務について教えてください。

K・N
私たちデジタルイノベーション部 デジタルテクノロジーグループでは、お客様に対するDX支援と、社内のDX促進を担当しています。お客様へのDX支援は、新規事業や新規サービスの立ち上げ支援、機械学習モデルの開発支援、AI(人工知能)を使ったツール導入の三本柱で展開しています。私はこのお客様向けDX支援が主な担当で、プロジェクトチームのリーダーも務めています。

K・S
私はお客様のDX支援も担当しつつ、社内のDX促進をメインの業務としています。AIや機械学習などのデジタル技術に関する社内教育や、生成AIなどの新しい技術の社内導入も試みているところです。
このグループの強みはどんなところにあるのでしょうか。

K・S
私たちは特定の分野や業界に特化した支援を行うことよりも、お客様の要望に基づき、柔軟にDXサービスを提供することを心がけています。グループには幅広い経験を積んだ様々なバックボーンを持つメンバーが在籍しているので、多様なアプローチでお客様のリクエストに応えられるのが、一つの強みと言えるかもしれません。

K・N
画像認識技術や自然言語処理を得意としていたり、ツールを活用した事業損益分析を行っていたりするなど、いろいろな経験と実績を持ったメンバーが揃っています。私個人としては、このグループ最大の強みは「粘り強さ」ではないかと思います。お客様の要望が難しく思えても、皆、簡単には諦めないんです。「何か方法はないか」「前提条件を変えれば何とかなるのでは」と、とことん試行錯誤します。DXというとスマートに仕事をしているように思われるかもしれませんが、実は日々、泥臭くがんばっています。
「倉庫物流向け自動ピッキングソリューション」の開発を、高度なデータ分析力で支援

菱友システムズは三菱重工の「倉庫物流向け自動ピッキングソリューション」の開発における倉庫自動化シミュレーションをお手伝いしたそうですね。

K・N
はい。今、労働人口が減少している影響もあり、物流業界では人手不足が深刻な問題になっています。私たちと長年お付き合いのある三菱重工様は、そんな物流業界が抱える課題を解決すべく、「ΣSynX(シグマシンクス)」という自動化・知能化ソリューションを開発しました。それを応用したのが、私たちが携わらせていただいた倉庫物流向け自動ピッキングソリューションです。

K・S
このソリューションは、三菱重工様が独自に開発した最適化エンジンや統合制御システムで構築されています。複数の無人搬送フォークリフトや無人搬送車、パレットに段ボールを積むためのパレタイザーなどを連携させ、搬送・ピッキング回数の削減を実現。ピッキング工程を最適化し処理能力の向上を図ることで、物流オペレーターの負荷を軽減し、ヒューマンエラーの削減に貢献するソリューションです。
菱友システムズは具体的にはどのような役割を担ったのですか。

K・S
工場のレイアウトや機械の動きをモデル上で再現し、荷物を動かすプログラムを作りました。その上で、荷物をどのような手順で動かせば最も効率がよいのか、シミュレーション結果を分析した上で無駄や改良点を確認し、都度モデルを修正する。そういったことを繰り返し行いました。

K・N
今回の案件では、これまで私たちが機械学習モデルなどの開発で培ってきたデータ分析力が大いに役立ったと思います。例えば、東京湾の船舶の動きを分析したり、発電機エンジンの挙動を解析したりといった、これまでの知見とノウハウが大いに活かされていますね。
本プロジェクトの中で苦労したのはどんなところでしたか。

K・S
今回使用したシミュレーションソフトは初めて使うものだったので、試行錯誤しながら習得していった部分が大きいです。ソフトの仕様や機能を把握し、使いこなせるようになるまでには時間を要しましたね。

K・N
スムーズに動いていない問題箇所を改善し、モデルの性能を上げていくことが私たちに求められていた役割でしたが、限られた時間の中でいかに目標の性能を実現するかには特に知恵を絞りましたね。

K・S
私たちのシミュレーションによって、「工場にピッキング機材を何台投入すれば、どれくらいの業務改善が見込めるか」といったことがわかるようになります。それに基づいて、このツールを使う企業は事業への投資額を設定するわけですから、間違った数字は絶対に出せないという責任とプレッシャーも大きかったですね。

K・N
今回の「倉庫物流向け自動ピッキングソリューション」の開発は、三菱重工様にとっては新規事業になります。そうした新規事業の支援は手探りの部分も多くなり、そんな時に一人で悩んでいても煮詰まるだけですから、何か壁にぶつかったら、チームで集まってホワイトボードに現状や課題を書き出し、思考の整理をしていました。そうやって皆で顔を突き合わせて意見を出し合うと、意外とすんなり解決策が見つかることもありましたね。
懸命なサポートが実を結び、ソリューションが実装された時のやりがい

大きなプレッシャーを乗り越えて、業務を完遂したときの気持ちはいかがでしたか。

K・N
とにかくホッとしました。三菱重工様もとても喜んでくださいまして、「パートナー表彰」もいただきました。このソリューションは社会課題の解決につながるものであり、世間の注目を浴び、メディアでも取り上げられました。社会的インパクトが大きく、三菱重工様という日本を代表する企業のプロジェクトに関われたことに誇らしい気持ちを持っています。

K・S
本当に、最後まで頑張って良かったですよね。三菱重工様がこのソリューションを出展した物流総合展にチームメンバーで足を運んだのですが、来場されたお客様の反応がすごく良くて。この仕事を通して、自分自身も物流の世界への興味がより強まりました。

K・N
プロジェクトを通して、チームメンバーも大きく成長したと思います。私がメンバーから助けられることも何度もありました。メンバー、とくに若手社員が活躍する姿を見ることほど嬉しいことはありません。
2024年12月から、神奈川県海老名市でこのソリューションを採用した工場が稼働するそうですね。

K・N
はい。私たちは3年間、お客様が物流業界の課題解決のために奮闘する姿を間近で見てきました。それだけに「私たちが足を引っ張るわけにはいかない」という緊張感もありましたし、できることはなんでもやろうと思っていました。だからこそ、実際に工場での導入が決まったときは自分のことのように嬉しかったですし、工場がこれからも何事もなく稼働し続けられるよう、可能な限りサポートを続けたいと思います。
チーム皆で力を合わせて、助け合いながら仕事をする風土

二人の部署やチームのメンバーには、どういった方が多いと感じていますか。

K・N
「技術を通じて私が世界を変えてやる!」といったような、ギラついた野心家のような人は少ないですね(笑)。それよりも、ITの技術を使って誰かの役に立ちたい、お客様の力になりたい、と地に足の着いた考えを持っている人が多数派です。人のために全力で動ける人が揃っていると思います。

K・S
お客様の要望に応えるためなら、未経験のことにも尻込みせずトライできる人たちが集まっていますよね。そうすることで、技術人としての幅広い知見やノウハウも習得できますし、だからこそ扱えるツールや技術などの引き出しが豊富な人が多いのだと思います。

K・N
また、メンバーを見ていて思うのは、根がすごく真面目だということ。そして他のメンバーに対するリスペクトも強いです。「他人を押し退けてでも自分が活躍したい」という人は、多分いないんじゃないでしょうか。どんなプロジェクトもチームの皆で力を合わせ、助け合いながら取り組む風土があります。
最後に菱友システムズに関心をもっている就活生へのメッセージをお願いします。

K・S
まずは菱友のことを説明会などでよく知ってもらえたらと思います。当社はいろんな分野の新しいことに挑戦しています。みなさんの興味がある分野も、きっと見つかるのではないでしょうか。

K・N
菱友は多様な事業を展開しているので、いろんな経験ができますし、幅広いスキルを身につけられると思います。日頃からいろんなことに興味をもち、面白そうだと思ったことにフットワーク軽く挑戦できるなら、その経験は当社でもきっと役立つはずです。

- 2024年9月時点の情報です。